この記事では、Webマーケティングでは切っても切り離せない「Cookie(クッキー)」という技術に関して解説します。
Cookie(クッキー)とは
Cookieとは、訪問したWebサイトから送られ、Webブラウザに一時的に保存されるユーザー情報のことです。具体的には以下のようなシーンで活用されています。
【活用例】
・再訪問すると、ログインIDとパスワードが保存されている
・ECサイトのショッピングカートに過去に入れた品物が残っている
・MAツールやGoogle Analyticsなどの解析ツール
・サイト訪問者へのリマーケティング
つまり、Cookieは、ユーザーの利便性向上やWebマーケティングに活用されています。では、Cookieでは具体的にどのような情報が記憶されているのでしょうか。
Cookie情報の構成
これらは技術的なことなので、細かく暗記をしておく必要はありませんが、どのような情報が記憶されているのかは大枠理解しておくとよいでしょう。
Cookieとキャッシュの違い
また、Cookieとよく混同されるものにキャッシュというものがあります。
これらの違いは下記となっているので混同しないようにしましょう。
さて、ここから実際にCookieがどのような流れで発行され、活用されているのか、その仕組みについてGIFを使って説明していきます。
ログイン情報の保存の仕組み
以下の順で保存が行われます。(GIF参照)
①サイトに訪問
②CookieがWebサイトのサーバーで作成されWebブラウザに送信
③会員登録してIDとPWが保存
④サイトに再訪問
⑤Webブラウザに保存されていたCookieがWebサーバーに送信(IDで識別され訪問者を特定)
⑥保存されたIDとPWが表示
「ファーストパーティークッキー」と「サードパーティークッキー」
次にCookieの種類について説明します。Cookieには大きく2種類あります。1st party cookie(ファーストパーティークッキー)と3rd party cookie(サードパーティークッキー)です。それぞれの概要と用途は次のようになっています。
また1st party cookieと3rd party cookieについて補足すると、1st party cookieはドメインごとにしかCookie付与ができないため、サイト横断ができないというデメリットがあります。
一方、3rd party cookieは横断対応が可能ではありますが、クッキーの持つセキュリティやプライバシーのデメリットを懸念して3rd party cookieをブロックするブラウザが増えているため、広告活用や効果測定の面で精度が低くなってしまうという問題があります。
リマーケティングの仕組み
次に、3rd party cookieを利用したリマーケティング配信の仕組みについて図をもとに説明します。
そもそもリマーケティング(リターゲティングとも言う)は、Webサイトを訪問したユーザーに対して表示させる広告のことをいい、一度自社サイトに訪問した興味・関心のあるユーザーにターゲットできるため、コンバージョンにつながりやすいという特徴があります。Webサイト内に計測タグを設置し、そのページに訪問したユーザーのブラウザにCookieを付与し、ターゲティングします。では図で詳しく説明しましょう。
Cookieを活用したリマーケティングの仕組み
以下の順で配信が行われます。(GIF参照)
①サイトAの商品ページに訪問(サイトAにはリマーケティングタグが設置)
②リマーケティングタグが「発火」
③アドサーバーからCookieが作成されWebブラウザに送信
④アドサーバーと連携されたサイトBに訪問
⑤ユーザーのCookieデータがアドサーバーに送信されて個人が識別される(サイトAの商品ページに訪問したユーザー)
⑥サイトBの広告枠にリマーケティングの広告が表示
以上がCookieの仕組みの説明となります。Cookieの仕組みを理解しておくことで、社内に計測ツールを導入する際や複雑なターゲティング設定を広告代理店と相談する際に役立ちます。ぜひここで掴んだ基礎知識をもとに実務の中で様々なケースに触れていき理解を深めていきましょう。
それでは、ここまで学習したことをもとに確認問題に取り組んでみましょう。
確認問題
(問1)あるユーザーが、サイトAに訪問しました。1回目の訪問はPCのChromeからで、アカウントのIDとPWを使い、会員登録をしました。翌日、同じPCのchromeから訪問すると、ログイン画面でIDとPWが表示されスムーズにログインできました。その2日後、同じPCでInternet ExploreからサイトAに訪問しましたが、そのときはIDとPWが表示されませんでした。なぜでしょう?
(問2)下記のように遷移したとき、ECサイト内の遷移をGoogleアナリティクスで分析をしたところ、流入元がGoogle検索エンジンではなく、http://abc.comとなってしまいます。その理由はなぜでしょう?
解答
(問1 解答)Cookieは、ブラウザ毎に保存されるため、別のブラウザでは、同じデバイスだったとしても情報が引き継がれなかったから。
(問2 解答)1st party cookieでは、ドメインをまたぐとセッションが切れてしまうため。(クロスデバイス設定が必要)
いかがでしたでしょうか。ITにこれまで触れることが少なかった方にとっては、実態が掴みづらくなかなか理解が難しい分野かと思いますが、Webマーケターとして活躍していくためにも徐々に理解を深めていきましょう。
最後に、Cookieに関する重要な最新動向についてご案内します。
Cookie規制に関するトレンド
2018年にヨーロッパで施行されたGDPR(General Data Protection Regulation)については、耳にされた方も多いのではないでしょうか。
GDPRは、データ活用が普及する世の中の変化に対応する新しい情報保護の法律として施行され、主に下記のような点がポイントとなっています。
・IPアドレスやCookieなどの識別子を個人情報とみなす
・取得時にユーザーから同意を得なければならない。
・違反した場合は罰金が科せられる
・対象は、EUに子会社や支店、営業所などを有している企業や商品・サービスを提供している企業
他にも、ITP( Intelligent Tracking Prevention )という仕組みがApple社のブラウザ「Safari」 に実装されており、これは、3rd party Cookieが短期間で切れるように設定されるなどトラッキングを防止する仕組みとなっています。
また、Google社からは、2020年1月に「今後2年以内にChromeでのサードパーティ製Cookieのサポートを段階的に廃止する」と発表がされており、マーケ界隈では衝撃が走りました。
このようにCookieの規制の動きは年々高まっているのです。Web広告のターゲティング等において重要な変化となるため、Webマーケティングの担当者は最新の動向をチェックし、対策を取ることが求められます。
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