リスキリング(リスキル)とは?リカレント教育との違いやDXとの関連性などを解説

学び

最近、新聞等のメディアで何かと目にすることが多くなった言葉に「リスキリング(リスキル)」があります。Amazonでは、AI・人工知能により代替される仕事を担う従業員10万人に再教育を行うという発表があり話題となりました。

アマゾン、米従業員10万人の再教育に760億円を投資へ
アマゾンは、米国の従業員10万人の再教育に今後数年間で7億ドル(約760億円)を投じることを約束した。

リスキリングは英語にすると「Re:Skilling」となるので「再び:スキルを磨く」といった意味に捉えられますが、「学び直し」や「リカレント教育」とはどのような違いがあるのでしょうか?

この記事では、これらの言葉の定義やリスキリングと密接な「DX(デジタルトランスフォーメーション)」との関連性などについて自分の理解の整理も込めてまとめています。

リスキリング(リスキル)とは

「リスキリング(リスキル)」について、リクルートワークス研究所のレポートで次のように定義されています。

現職とは異なる職種、特にデジタル職種に転換するためにスキルを塗り替えること

参考文献:
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/reskilling2020.html

つまり、今自分が持つスキルを「学び直す」のではなく、「全く新しいスキルを習得する」という意味合いが強いのです。「Re:Skilling」なので「Re = 再び」という意味に捉えられがちですが、実は全く新しい分野に挑戦するという意味があるんですね。

例えば、次のような事例がリスキリングと言えるかと思います。

<リスキリングの例>

現在の職業リスキルするテーマ転換後の職業
マーケター統計学、プログラミングデータサイエンティスト
銀行員ブロックチェーンフィンテック事業の財務担当

また、今の職業・仕事の知識・技能をさらに高めていく、深めていく場合は、「スキルアップ」が使われます。ちなみに英語だと”upskilling” なので「スキルアップ」は和製英語なんですよ。知ってましたか?私は知りませんでした(笑)

「リカレント教育」との違い

では、「リスキリング」に似たような言葉としてある「リカレント教育」とはどのような違いがあるのでしょうか?

リカレント教育の定義を確認すると例えば次のようにあります。

リカレント教育とは「生涯を通じて学び続けていくこと」です。正確に表現すると、学校を卒業して仕事に就いても学ぶことをやめず、仕事と交互に教育を受けていくことが望ましいとされています。リカレント(recurrent)は「循環する」「再発する」といった意味ですが、タイミングを見て周期的に教育を受け続けていく仕組みと捉えられます。

https://www.persol-group.co.jp/service/business/article/279/

定義だけを見ても違いがわかりづらいと思いますので、これらの2つの言葉を大まかに比較すると次のような整理となります。

リスキリングリカレント教育
社会的背景デジタル化
第四次産業革命
寿命の長期化
人生100年時代
目的人材のアップデート
(企業視点)
生涯学習
(個人視点)
学習テーマ仕事に直結するスキル
特にデジタル・IT
趣味や教養も含む

最近では、「リカレント教育」も仕事につながるスキルの習得という意味や目的を前提に扱われることも少なくないようなので、「リスキリング」と同じような意味となってきていますが、特に企業側の視点から会社の社員を育成して人材としてアップデートしていくような意味合いで「リスキリング」が使われるようになってきているんですね。

DX(デジタルトランスフォーメーション)との関連性

「DX」の定義についてもまずは確認しましょう。

DXの定義は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf

DXを推進する意味と似た言葉でIT化やデジタル化もありますが、これらはDXの一部であるといえ、効率化やオンライン化といった変化に留まる一方で、DXはビジネスモデルの根幹からの変革となります。

当然、このような変革において企業として重要な資源である「ヒト」を変えていく必要があり、それは「経理担当が財務スキルを磨いてスキルアップする」といった次元では足りません。DXにより新しいビジネスを創造していくためには、最先端IT技術に関わる学びは営業であってもマーケターであっても全従業員に求めらます。

新型コロナウイルスでの急速なオンライン化により、倍速以上のスピードで組織・個人のDXは待ったなしとなりました。そのような背景から「リスキリング」の必要性も急激に拡大していったのです。

日本の大人は学ばない?

こちらは、パーソル総合研究所が発表した衝撃的なリサーチ結果です。日本で働く人の46.3%もが社外で自己研鑽しておらず、これはAPACでワースト1の結果です。

パーソル総合研究所、日本の「はたらく意識」の特徴を国際比較調査で明らかに国際競争力低下の懸念。日本で働く人の46.3%が社外で自己研鑽せず - パーソル総合研究所
パーソル総合研究所はPERSOL(パーソル)グループのシンクタンクです。お客様の人事課題に「寄り添い続けるパートナー」として、組織・人事コンサルティング、人材開発・社員研修、ピープルアナリティクス、人材アセスメント、タレントマネジメントまでを網羅。調査研究レポートやコラム・セミナー情報などのメルマガも。

おそらくこのような結果が出ている背景として、労働市場環境の違いが大きいと考えられます。特に欧米諸国では、「ジョブ型」というその人のスキルや経験をもとに企業が採用を行い、即戦力として雇用をするのがベースですが、日本は「メンバーシップ型」で新卒一括採用で総合職として育成をしていく形式がまだベースとなっています。関連して年功序列、終身雇用といった従来型の雇用慣行が、「スキルを習得する=給与や昇進に直結する」といった循環を生みづらくしており、学び続けることに対する個人の意識が高まっていかない阻害要因になっているといえます。また、日本人は労働時間が長いことでも有名ですが、そのような時間的な制約も自己研鑽が促進されない要因と考えられるでしょう。

ですが、徐々に日本もジョブ型雇用を採用したり、大胆なリストラを実行する企業も増えてきており、労働市場環境は変化していきそうです。企業としても社員に学習環境を用意して、スキルアップ、リスキリングを推進する動きも見られています。

このような変化の兆しは見られてはいるものの、私たち個人としても予測困難なこれからの時代に備えて意識を高め、今から学び続ける習慣は作っておくのが良いでしょう。私も現在のマーケティングという職業をベースにデータサイエンスを学んでいます。近い将来、データサイエンティストとして活躍できることを目指して今日も楽しく学びを続けたいと思います!

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