【母比率の差の検定】TVCMを打った地域で認知率に差はあったか?

  • 2021年12月28日
  • 2021年12月28日
  • 統計学

マーケターとして統計学を学び、「マーケティング実務と統計学を結びつける」をテーマに情報発信をしています。

今回は、仮説検定の1つである「(2標本における)母比率の差の検定」をテーマに具体的なマーケティングでの事例をもとに解説していきます。

ケース:TVCMを打った地域での認知率の差

1ヶ月前に関東地方でTVCMを放映しました。その他の販促状況を加味し、比較対象エリアを関西地方としてTVCMを放映した商品について認知率を調査しました。その結果、下表でした。

回答者数認知率
関東26,2037.9%
関西12,8087.1%

0.8%という差は誤差なのか?それとも、有意な差なのか?について仮説検定をしていきます。

STEP1:仮説を立てる

まず、帰無仮説と対立仮説(主張したい仮説)を立てます。

帰無仮説:関東での認知率と関西での認知率に差はない
対立仮説 :関東での認知率と関西での認知率に差はある

STEP2:有意水準を決める

有意水準(α)=0.05として「95%の確率で有意と言えるか」を両側検定していきます。
また、回答者数が十分に大きいので、統計量zは標準正規分布N(0, 1)に従うとします。

STEP3:検定統計量を求める

今回は2標本における「母比率の差の検定」になるため次の式で検定統計量を求めます。

先ほどの集計結果を当てはめると下記になります。

回答者数認知率
関東n1 = 26,203p1(推定値)= 7.9%(0.0079)
関西n2 = 12,808p2(推定値)= 7.1%(0.0071)

検定統計量を計算すると「2.72」となります。

STEP4:結論

両側検定の有意水準0.05(5%)の場合、上側、下側2.5%の地点となり、今回算出した検定統計量「2.72」は上側の1.96よりも大きく、棄却域に入ります。

よって、「帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択する」という結果となり、「関東地方の認知率と関西地方の認知率に差がある」という結論となりました。TVCM放映により認知率に影響があった可能性があるといえそうです。

※あくまで認知率に差があったかという仮説検定の結果、「差があった」という結論になりますので、「TVCMにより認知率が上がったか」を検証したわけではありませんのでご注意ください。

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